市長への問責決議を可決

6月28日、枚方市6月定例月議会が閉会しました。

普通であれば「議長として初めての定例月議会だったので、緊張しましたが、無事最終日を終え、ひと安心です」的なことを書いたりするのでしょうが、さにあらず。

今議会は波乱に満ちた展開が続き、実に後味悪いものとなりました。

今議会最終日に「伏見隆市長に対する問責決議案」が可決されました。

なぜ、問責決議がなされることになったのか?

今回、その経緯を私なりに説明させていただこうと思います。

(長文になります)

枚方市では、前教育長が昨年度末で退任されたあとの4月以降、教育長の不在が続いています。

教育長人事は、議会の過半数の同意(賛成)によって決まります。

ですから、市長は議会が同意できる人物を選ばなければなりません。

これまでの枚方市の慣例では、市長が人事議案を議会に提出したい場合、事前に議会側に対して、市長が考える人事案を打診し、同意してもらえるかどうかの確認をしていました。

つまり、議案提出前の段階で議会の過半数の賛成が分かっている場合に、議案として提出されてきたことになります。

言うまでもありませんが、通常の条例や予算等の議案では、このような事前の賛否の確認などはしません。

なぜ、人事議案の場合だけ、このような事前の根回しのようなことをするのか?

それは、議会で人事議案が審議される際、その候補者の住所や氏名等が公に示されるため、否決されると、候補者に無用な社会的ダメージを与えかねないからです。

今回の問題においては、まずこの大前提をご理解いただくことが大事かと思います。

今回の教育長人事についても、これまでの慣例どおり、3月定例月議会前の早い段階で、市長から次期教育長の人事案の打診がありました。

しかし、複数の会派がその人事案は「同意できない」と判断し、議会の過半数の反対が十分に想定されたことから、市長に対し至急に別の人事案を考えてもらうよう伝えていました。

市長は3月定例月議会で教育長人事議案を提出せず、結果、4月以降は教育長不在となりました。

3月議会の時点で人事議案を出せなかったのは、新しい候補者を決めるのに時間が足りなかったのかと推察していました。

問題は、それ以降の4月末の閉会議会、さらに5月開会議会と、議案を出す機会はあったにも関わらず、一向にその動きが市長に見られなかったことです。

そして、6月定例月議会の当初議案でも、教育長人事議案提出の予定がないことがわかりました。

こうなると、次の機会は9月定例月議会となり、半年以上の教育長不在というまさに異常事態となります。

多くの議員、会派から、教育長不在が長期化することへの懸念の声が出ていたこともあり、6月4日、この状況を解消し新たな教育長の選任同意議案を早急に提出するよう強く求める要望書を、正副議長および全会派の代表の連名で、市長に対して提出しました。

そうすると、市長は突如、正副議長に対し、3月定例月議会前に多くの会派が同意できないと伝えていたはずの人事案を提出する意向を示してきました。

なぜ否決の可能性が高いとわかっている人事案を出すのか、誰も喜ばない結果になるのではないか等々、言葉を尽くして市長に意見しましたが、意向は変わらず、6月14日、その人事議案が正式に提出されました。

この時の市長とのやり取りを詳細に記すことは、道義上控えますが、いずれにしても私としては全く理解しがたいものでした。

とはいえ、議案を提出するのは市長の権限ですので、正式に提出された以上、たとえ厳しい結果になるとしても、議会は粛々と判断するのみと覚悟を決めていました。

ところが、わずか1週間後の6月21日、市長はまたも唐突に議案の撤回を申し出てきたのです。

あれだけ、議会が反対していたのを押し切り、正式に提出した議案をいとも簡単に撤回する、これも理解できるものではありません。

議案の撤回を審議する6月24日の議会運営委員会で市長は、「この人事案、自分としては最適任と思っていたが多くの方々から賛同できないと言われたから撤回する」との旨の発言がありました。

過半数の議員が賛同できないということは、すでに3月定例月議会前の段階で市長に伝えており、その後も幾度となく意見してきたはずなのに、これが撤回の理由とは、ただただ驚きです。

さらに、あろうことか議会運営委員会の場で、市長は人事案の候補者の個人名まで言及し、それが複数の新聞において報道されてしまいました。

もちろん故意ではなかったと信じたいところですが、報道関係者が傍聴していると事前に情報があったにも関わらず、そこで候補者名を口にするなど、市長の行いとしては、あまりに軽率であり、不適切です。

この間、候補者に社会的ダメージを与えることがないよう慎重を期して議論を進めてきた議会の努力を台無しにする行為であったと言えます。

人事議案におけるこれまでの慣例をあえて逸脱して強行に提出した議案を、いとも簡単に取り下げたこと、また、議会運営委員会で候補者名に言及し、それが新聞報道されるに至ったことなどについて、看過できないと判断した自民党議員団、日本共産党議員団、連合市民の会、公明党議員団の会派は、ここまでの市長の一連の行いについて猛省を促し、本来あるべき教育行政の執行体制を早急に整えることを求める「伏見市長に対する問責決議」を各会派代表の連名で議会に提出しました。

議会最終日の6月28日、この問責決議案の採決では、一部議員が議場を退出されたうえで、議場にいる議員全員が賛成の「全員起立」で可決されました。

退出された議員も含めて問責決議案に「反対」する議員は誰一人いなかったということです。

定例月議会の最後には、慣例として、市長の挨拶がありましたが、問責決議を受けて心から反省をしている様には私としては感じられなかったので、最後の議長挨拶では市長に対する苦言を少し厳し目に述べさせてもらいました。

今回の教育長人事をめぐる顛末および市長に対する問責決議は、市民の皆様から見て、わかりにくいものであったと思いますし、市民不在の不毛な争いと言われても仕方ないと思います。

枚方市の子どもたちのため、本来あるべき教育行政の執行体制を1日も早く整えるべく、私たち議会もさらに努力を続けなければと痛感した、今回の議会でした。

以上、長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

これからも頑張ります!

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